札幌医科大学附属病院 看護部

教育体制を知る

キャリア開発

 看護部では、キャリア開発を「個々の看護職員が組織の目標をふまえ、能力及びライフスタイルに応じて、組織の支援を受けながら臨床実践能力の向上に自分自身で取り組むこと」と定義し、私たち看護職が進む道をキャリアパスによって示すとともに、ラダーによる認定制度を用い、組織としての支援を行っています。

ラダー キャリアパス

ラダー

段階的に実践能力を評価するとともに、次の段階への目標を明示することで看護職の実践能力を高めることを支援します。ジェネラリストとしてのクリニカルラダーの他、管理者が対象となるマネジメントラダーなどがあります。

ジェネラリストのクリニカルラダー
マネジメントラダー
management_ladder
助産師ラダー
midwife_ladder
認定看護師ラダー
nurse_ladder

キャリアパス

看護職員一人ひとりが専門職として質の高い看護を提供し、自分が目指す看護職像に到達するための計画的な能力開発の道筋としてキャリアパスを示しています。

看護職キャリアパス
ジェネラリストどのような対象者に対しても経験および院内研修受講や大学・大学院進学などの自己研鑽によって培った暗黙知に基づき、その場に応じた知識・技術・能力を発揮し、実践者として役割モデルになるような、看護活動を行うものをクリニカルラダーレベルⅤ:ジェネラリストとしています。
卓越したジェネラリストジェネラリストの中でも、院内エキスパートナースコースや院外研修の受講による自己研鑽を通して修得した能力をもって卓越した看護活動を行うものを卓越したジェネラリストとしています。
院内エキスパートナース
(院内認定)
院内で専門分野の所定の研修コースを修了し、特定の領域における課題を明らかにし、自部署の看護の質の向上に貢献するものを院内エキスパートナースとして認定しています。
臨床看護教育者
(院内認定)
臨床看護教育者育成研修を修了し、看護職の教育・指導を行うほか、看護学科の教員と協働して看護基礎教育に参画し、看護学科と病院をつなぐ役割を担います。

キャリア発達(開発)のための支援

1.職場適応相談
新人看護職員を対象に年3回、不安軽減のために面談を実施します。

2.部署間ローテーション
自らのキャリアを考え6つのキャリアコースから選択し、部署をローテーションすることができます。

3.院内留学
自己のライフプランも視野に入れながら、自ら希望の部署での研修計画を立案し、専門職業人としてのキャリアプランを具体化していく機会としています。

それぞれの道に進んだ人の声(令和5年度)
トップマネジメントを担う一員として

令和5年度認定看護管理者サードレベル修了

令和3年4月に看護部副部長の任を受け、2年間総務・人事を担当するなかで、幅広い視野から組織の方向性を見つめ直すこと、新たなものを創造する知識と技術が必要と考え受講を決意しました。
全道各地の病院、施設から看護部長、副部長、看護師長の職位に就く22名が受講しています。カリキュラムは、多様なヘルスケアニーズを持つ個人、家族及び地域住民に対して、質の高い組織的看護サービスが提供できるよう186時間の講義と演習が組まれています。写真は演習のメンバーで、トータル48時間をかけて組織の改善計画を立案します。演習以外でも個々のレポートについて意見交換し、公的私的な情報交換をするなど濃密な関係を築いています。
修了後は、当院の看護職が質の高い看護を提供し、生涯を通じて専門職として働きつづけられるよう取り組んでいきます。また、当院の医療の質にとどまらず、大学附属病院の使命である、地域の保健医療に貢献できるよう行動していきます。

看護管理者としての挑戦

令和5年度認定看護管理者セカンドレベル修了

看護師長になり、育児との両立に悩みながら無我夢中で走り抜け、気が付けば7年が経過していました。看護部管理室、外来部門を経て、病棟管理を担って2年目、来年度には臓器別病床階層別配置による病棟再編成を控えたタイミングで、看護管理について改めて学び、現状分析能力、課題解決能力を養いたい、患者さんにとって、そして看護師にとって、よりよい環境を作りたいという思いで受講しました。
研修では、看護管理に悩む同志たちとの多くの出会いがありました。病院の外から自分の所属する組織の使命、強みを改めて見つめ直し、将来像を描き、未来の患者さんの満足のために変化し続けることの大切さを学びました、思い返せば、新卒で就職して3年目、初めて行った看護研究では、多職種カンファレンスを患者不在で行っていることに疑問を感じ、患者参加型で行う仕組み作りに取り組み、成果を検証しました。今でこそ、患者を中心としたチーム医療は当然のことですが、20年前の当時はまだ、風当りを感じる中での勇気が必要な試みでした。若さゆえのチャレンジ精神で、怖いもの知らずだったなとも思いますが、忘れないでいたい自分の原点であり、管理者の後押しあってこそだったと思います。ピンチはチャンスとよく言いますが、まさにその精神が看護管理者には求められており、危機的な状況であっても、この人についていけば何とかなるのではないか、自分にもできるかもしれない、そう思って新たな試みに挑戦したくなるような病棟作りを推進できる管理者を目指したいです。

看護管理の魅力

令和5年度認定看護管理者セカンドレベル修了

私は、看護師として働く中で、副看護師長として病棟管理に携わる機会を頂きました。病棟全体で患者さんと目標を共有し、安全安楽な看護をどのように提供するか考える中で、うまく実践できないといったスタッフのジレンマの声も聴く機会があり、自分が看護管理者として出来る事を学びたいと認定看護師管理者ファーストレベルを受講させて頂きました。
ファーストレベルでは、目先の出来事だけではなく、社会情勢や当院の理念、医療を取り巻く状況を把握・判断し課題を明確にすることが求められます。そのため、新たな視点で課題解決について考える事ができるようになりました。また互いを認め合いながら、議論し合える職場作りの方法も学び、スタッフが看護にやりがいをもち働く姿を見られることが自分にとっての喜びにつながりました。まだまだ不得意な分野も多いですが、やりがいのある看護管理の魅力を伝えていけるように、管理者として成長出来たらと思います。

チーム医療の要を目指して

2023年度公益社団法人日本看護協会看護研修学校 特定行為研修 在学中

私は、チーム医療における看護師としての専門性の強化、知識と技術のレベルアップを目指し、特定行為研修を受講しました。看護師の役割の一つに「診療の補助」が挙げられますが、医行為の一部を看護師が担うのが特定行為です。特定行為は、医療の高度化や複雑化が進む現代において、患者さんに質の高い医療を提供するチーム医療の推進を目的として研修が制度化されました。チームの一翼を担う看護師が特定行為を行うことは、診療の補助という看護師独自の責務の範囲拡大のみでなく、その専門性の強みを見出すことにあると考えます。また、医療が提供される場においては一つの例外もなく、より専門的な治療や療養生活の支援をチームで実践することがとても重要です。
現在は共通科目の履修と演習を行い、今後はより専門性の高い区分別科目履修と臨地実習へと進みます。日々、学習と経験の連続であり、知識の再確認と新たな知見獲得の毎日です。当面の目標は、科目履修にありますが、チームの中で活躍する看護師像を目指し、邁進したいと思います。

私が認定看護師を目指した理由と今後

令和5年度公益社団法人日本看護協会神戸研修センターがん薬物療法看護認定看護師教育課程(B課程)在学中

日本看護協会神戸研修センターでがん薬物療法看護認定看護師教育課程を受講しています。私は腫瘍血液内科で多くのがん患者さんに出会い、他のスタッフとともに治療を支えてきました。その後皮膚科に異動となり、希少がんの難しさを感じ、増えていく新しい治療に対し知識不足を感じていました。そこで、より専門的な知識・技術を学びたいと考え、がん薬物療法看護認定看護師を目指すようになりました。
4~7月は病棟で働きながらe-learningでの自己学習が中心でしたが、8月からは神戸にある研修センターで集合教育を受け、11月からは実習と進んでいきます。集合教育では、元々持っている知識を深めたり、最新の治療について学んだりと、毎日新たな学びがあります。課題やテストもありますが、色々な地域・病院から集まった同期とともに助け合いながら過ごしています。
今後は、教育課程での学びを活かし、患者さんが安全にがん薬物療法を続けていけるよう、患者さんやスタッフだけでなく、ゆくゆくは施設や地域にむけた活動もしていけたらと考えています。

看護教育の新知見で充実の日々

令和4年度臨床看護教育者育成研修受講

5年前ですが、実習指導や数回の実地指導・教育担当を担い、指導に係わる研修にも参加する中で、自分が自信を持ち根拠を持って指導すること、それが学習者からの反応として得られることに楽しさを感じていました。もっと指導者として専門的な知識・技術・態度を学びたい、さらにその上で学習者各々に応じた指導ができるようになりたいと思い受講を希望しました。ちょうど部署異動と重なり、今回4年越しに叶えることができました。
1年目は看護学生の授業や演習にインストラクターとして参加させていただき、学生の学習進度や到達状況について学び、実習指導計画を立案・評価しました。2年目の今は実地指導に関して、新人が実践力を修得するために必要な指導計画を学び考えています。通常の業務をしながらの受講で、自己学習や提出物もあり大変さはありますが、貴重な経験が多く、教育指導に関する新たな知識を得ることに充実感を得ています。
今後は臨床の場にいる者として学習者に対し、2年間で学んだ教育的な知識・技術を持って指導援助を行うとともに、その役割を担うものに対しても知識・技術を伝えていけたらと考えています。

助産師キャリアパス
midwife-careerpass
アドバンス助産師の進んだ人の声(令和5年度)
助産師実践能力の向上

令和5年度アドバンス助産師認定申請

私は2015年、新人として産科病棟へ入職しました。妊娠・出産・育児を経験し、子どもが小さい頃は仕事と育児で毎日が慌ただしく過ぎていきましたが、徐々に自己のキャリアについて考える時間が増えました。また、病棟で教育に携わる機会が増え、自分自身の知識や技術を見つめ直す機会が必要なのではないかと考えるようになりました。
同僚にアドバンス助産師が増え、制度や研修内容について話を聞く中で、今の自分に必要な資格であると考えアドバンス助産師認証を目指しました。
研修受講や学習等の時間の捻出に難しさを感じることもありましたが、これまでの経験を振り返り、自分自身の知識や技術を見つめ直す機会となりました。認証試験も無事に終え、この経験をケアや教育を通して病棟に還元できればと考えています。
現在は、母体救命や新生児蘇生法のインストラクターを目指して研修を受講中です。今後も全ての対象者に安全で良質なケアを提供できるよう自己研鑽を続けていきます。